こんにちは!埼玉県県民の森です。
春が深まるにつれて、園内ではつぎつぎと花が咲き始めています。今日は、いま見頃を迎えている3つの花をご紹介します。どれも「美しさ」にまつわる花言葉やエピソードを持つ、日本の春にぴったりの植物たちです。
◾️しだれ桜(枝垂桜)
先日ご紹介したヤエベニシダレに続いて、園内のしだれ桜も花開きました。細くしなやかな枝が弧を描いて垂れ下がり、その枝いっぱいに花が付く姿は、まるで花の滝が流れ落ちるようです。
しだれ桜の花言葉は「優美」「円熟した美人」。垂れ下がる枝と花の姿が上品でおしとやかな印象を与えることに由来しているそうです。特に「円熟した美人」は、年を重ねた大木がしなやかに枝を垂らし、若木とは違う落ち着いた美しさを見せる姿を、大人の女性になぞらえた表現だと言われています。なんだかすてきですよね。
しだれ桜は寿命がとても長いものが多く、全国には樹齢1,000年を超える名木もあるのだとか。県民の森のしだれ桜も、これからずっと来園者の皆さんを迎え続けてくれることと思います。
◾️カイドウ(ハナカイドウ・花海棠)

カイドウはバラ科リンゴ属の落葉小高木で、リンゴの仲間にあたる植物です。ソメイヨシノが散るころに咲き始めることが多く、濃いピンクから桃色の花を枝いっぱいに咲かせます。蕾のときはより濃い色で、開くにつれて少し淡くなっていく色の変化もきれいです。
カイドウの花言葉は「温和」「艶麗(えんれい)」、そして「美人の眠り」。この「美人の眠り」には、とてもロマンチックなエピソードがあります。中国・唐の時代、玄宗皇帝がまだ酔いさめやらぬ楊貴妃の姿を見て、その美しさを「海棠の睡り未だ足らず(カイドウの眠りがまだ足りない)」と称えたという故事に由来しているのだそうです。それほどまでに人を惹きつける花ということなのですね。
中国原産で、日本には江戸時代以前に伝わったとされるカイドウ。古くから「美人の象徴」として文学や絵画にもたびたび登場してきた、由緒ある花です。
◾️ヒトリシズカ(一人静)


しだれ桜やカイドウのような華やかさとはまた違う、ひっそりとした美しさで私たちを楽しませてくれるのがヒトリシズカです。山地の林の中、やや湿った半日陰を好んで生育する多年草で、4枚の葉の中心から白いブラシのような花穂をすっと立ち上げる姿がとても愛らしいんです。
花弁はなく、白い糸状の雄しべが集まって穂のように見えるという、ちょっと変わった構造をしています。地味に見えるかもしれませんが、近くでじっくり観察すると、その繊細な姿に思わず見入ってしまいます。
名前の由来は、源義経の愛妾・静御前(しずかごぜん)が一人で舞う姿を連想して「一人静」と名付けられたと伝えられています。花言葉は「隠された美」「静謐(せいひつ)」「愛にこたえて」。人目につきにくい林の木陰で、ひっそりと慎ましく咲くその姿にぴったりの言葉ですよね。
◾️三者三様の「美しさ」
こうして並べてみると、しだれ桜は「優美で上品な美しさ」、カイドウは「艶やかで華やかな美しさ」、そしてヒトリシズカは「ひっそりと奥ゆかしい美しさ」と、三者三様の「美」を持っているのがとても面白いなと思いました。一度の散策でこんなに違うタイプの美しさに出会えるのは、さまざまな植物が自然に息づいている県民の森ならではです。
標高約900メートルの森は今、日に日に春の彩りが増しています。足元の小さな花から頭上の桜まで、いろんな発見がある季節です。ぜひゆっくり歩きながら、花たちに会いに来てくださいね。
入園料・駐車場 無料
開園:3月〜11月/9:00〜16:30






